高校数学 東京大学2007 (平成19)年度 前期入試問題の解説

分析

解答例

第1問

とりあえずP(x)や(1 +x)k P(x)を題意の通りに多項式で表してみると方針が立てやすい。

何について数学的帰納法を用いるかが迷うが、りるらるのようにkについて示すのが楽だ。係数について示す場合は二項定理を用いるが、文字が多くて煩雑だ。

第2問

a1は正弦定理を用いて求める。n・a1 の極限を求める際は、更にcos (π/n)をsinに置き換える必要がある。ここで注意すべきは、”極限値 -極限値”といった不定形を避けた式変形をする事。

第3問

P(p, p2), Q(q, q2) として、a, bをp, qで表す。範囲を求めるのだから、p, qの定義域に求めた方程式を代入することでbの動く範囲が分かる。

まともに論証すると手間が掛かる。そこで視覚的に考察して、Pを(1, 1)に固定してQを動かした場合と、Qを(1, 1)に固定してPを動かした場合の軌跡を調べる事で外郭が分かる。内部に空洞が無いのは直感的に分かるので領域が分かる。特に(2)は図を描けとだけ指示されているので、雑な論証でも図が正しければ満点だ。

第5問

m = 0, nといった極端な数値を代入する事で、検算と例外チェックが出来る。(3)は1回目と2回目の試行で組み合わせを表にすれば良い。

第6問

台形近似の有名な問題で、対数の値を有理式で評価するという趣旨。

まず(1)で不等式が成り立つことを証明する。(2)では(a +x) /(a -x) = 2 ⇔ a = 3xのときにlog 2が得られるからそれを代入すると評価が甘いから工夫してみせろ、という出題意図。

2ではなく√2とすることで解決するのだが、流石に思いつかない。高校数学物語のように、台形を細かくしていくのが自然な発想だろうが、それでもかなり習熟していないと思いつかない。中辺と右辺を見て平均値の定理に持って行ってしまうミスリードもある。

まずこの不等式が台形近似を表していると見抜く必要があるが、それが難しい。積分関数が有理関数で挟まれていることから見抜こう。

高校数学 東京大学2008 (平成20)年度 前期入試問題の解説

分析

解答例

第2問

Math Stationが分かりやすい。樹形図でフローを確認すると、単純な反復があるのでこれをnを含む指数関数とする。最後に、同色となるフローの確率を掛ける。(1)ではn が奇数のとき、(2)では偶数のときに確率0になるのは最低でも記述しよう。

第3問

G1G2の距離も(1)の考察から得られる。

回転体の両端の円の半径が1 /√3 になるのは分かるが、その間の半径が複雑で一次関数的な単純な変化ではない。複雑な図形の回転体の半径を定める上でベクトルを使うのはお決まりだ。

Math Stationの様に媒介変数を使って体積を求めて幅を補正するのは計算は楽だがミスしやすい。東進のようにz座標に変換して計算する方が考慮すべき事が少ない。ちなみに、媒介変数の値域は1だが正八面体の一辺の長さも1なので、斜回転体のようにスケール変換は不要。

第5問

(1)「全ての整数mについて成り立つ」ことを証明せよという問題なので、数学的帰納法を使おう。

(2)十分条件は(1)で示された。必要条件は、「nが27の倍数以外なら成り立たない」と言い換えれる。Math Station の証明が分かりやすい。

第6問

レムニスケートのような媒介変数表示の曲線の面積を求める。増減表やグラフを描くことは求められてないので、時間を節約するために手抜くのがコツ。面積を求めるだけなら、”x座標が折り返す点”と”自己交差点”を把握すれば十分。

同じ積分関数を区間を変えて繰り返し算出するが、Math Stationのように積分区間を反転させる事で[0, π] +[2π, π]に纏めれる。尤も、グラフの概形からこれは必然的であり、時短の為に直接こうやって算出できるようになっておこう。

高校化学 東京工業大学2006 (平成18)年度 前期入試問題の解説

[2]

  • (イ)常温常圧では不導体だが融解すると導体になるのはイオン結晶の性質。
  • (エ)希ガスの気体は単原子分子。

[4]

(問i)問題文に、ある瞬間の反応速度はその時の[H2O2]に比例すると書かれているので、[H2O2] を求めよう。その為には最初の[H2O2] を求める必要がある。

(問ii)値を代入するだけ。

[5]

H2 (1.000 atm)捕集時、”水蒸気の分圧” = “水の飽和蒸気圧”。0.500 atmの場合は最初より低い圧力なので、水蒸気を蒸気圧を考慮しないで普通の気体として扱える(状態方程式を適用できる)。4.000 atmの場合は最初より高い圧力なので蒸気圧の考慮が必要。

0.500 atmの場合と4.000 atmの場合とでは水の物質量は変わってしまっているが、H2については不変なのでボイルの法則を適用できる。

[6]

問i

  • (5)硫酸はアルカリ土類金属以外となら可溶性の塩を作るので次第に反応が進むが、鉛の塊に希硫酸を加えると、表面だけ反応したあと緻密な皮膜を作るのでそれ以上は水素を発生させない。

問iii

この問題だけでかなり時間が掛かりそうだ。Mg, Ni, H原子の物質量をそれぞれx, y, zとおく。

  • (ア)金属が塩酸に溶けた際に発する水素と吸蔵されていた水素の和が0.41 molである。
  • (イ)電解質にはMg2+とNi2+が含まれているが、イオン化傾向が小さいNiが析出する。Mgはイオン化傾向がAl以上なので析出しない。この問題では陰極ではNiと水素が現れるが、現実の実験では水素のみが発生してもおかしくない。

[7]

(4)イオン化傾向がAl以上の金属は融解塩電解で生成する。

[8]

  • (4)どちらも硝酸銅を発生するが、気体は濃硝酸がNO2, 希硝酸がNOなので酸化還元反応式が異なる。
  • (5)ヨウ化カリウムデンプン紙は、KIが酸化されてI2 になり、これがデンプンの環構造の入り込む事で呈色する。

[9]

5, 6は「全ての異性体」なので注意。

[10]

問i, iiは細かい知識を要する難問。

  • (1)アセチレンに硫酸水銀を触媒として水を付加するとアセトアルデヒドが出来る。この過程で使った水銀が水俣病の原因となったので、現在はエチレンに(4)塩化パラジウムと塩化銅を触媒として工業的に生産されている。
  • (2)10族元素Ni, Pd, Ptを触媒として脂肪族やベンゼンの二重・三重結合に水素を付加する事が出来る。
  • (3)ナトリウムフェノキシドを高温高圧下でCO2と反応させサリチル酸を作る。
  • (7)十酸化四リンに水を加えて加熱するとリン酸が生じる。
  • (9)エチレンにリン酸を触媒として水を付加するとエタノールになる。

[13]

実験キの「もとの化合物であるかどうかを調べる」という記述が曖昧なので不適切問題。

数学 東京工業大学2006 2007 2008 2009 2010 2011 後期入試問題の解説

2006

解答例

第1問

(1)P’における楕円の接線とltが平行となるときのPがPt であるのはほぼ自明だが、制限時間を考慮すると証明すべきだろう。

(3)y軸周りの回転体なので、π∫x2dyという形式になる。

2008

解答例

第1問

(1)

色んな解法が考えられるようだ。文字が入り乱れて分かり難いので青空学園のように文字を纏めると良いだろう。a1とa2の大小関係を利用して項を置き換える。

(2)

数学的帰納法を使い、(1)と同じ手法を適用する。文字だらけなのが難しくしている。

第2問

絶対値付き三角関数の積分の極限。前期1989年度第4問の類題である。

絶対値付き積分では、まず絶対値を外して区間を分けるのが王道だ。CFVではその解き方を紹介している。しかし図形的に考察して、Math Stationのように似た図形の面積で挟むのがセンスが良いし、計算量も少なくて済む。

積分の極限では、グラフの概形を描いてみて、そのグラフに似た形で積分しやすい関数を探してみることが大事だ。

2009

解答例

第1問

方針をどう決めるかに全てが懸かっていると言って良い。

「点(X, Y ,0)が球の影に含まれる」という条件を、「点Cを通る直線と球が共有点を持つ」と言い換えて方程式として解くのが良い。直線を媒介変数tを用いてベクトル方程式で表し、tの実数解条件に落とし込むのだ。

2010

解答例

第1問

(1)複雑な漸化式が出てくるが、連立漸化式によりシンプルになる。

(2)極限の概念の理解を問う良問だ。しかも解いていて楽しい。 場合分けを丁寧に記述するのは大変そう。

第2問

(1) (2)の内容を見越して二階微分までして増減表を作ろう。

(4) 綺麗な答えにならないが、S(1) = 0によって検算できる。

2011

解答例

第1問

(1)Math Station のように四面体の体積を2通りで示す。その方法の他、平面ABCをx/t +y +z = 1として球Pの中心(r, r, r)との距離を求める方法もある。その際は平面ABCから飛び出した球の半径も解として出てくるので注意。

(2)r3 の展開が煩雑そうで気が滅入るが、展開せずそのままtで微分してしまおう(それでも煩雑だが)。東工大の最大最小問題でよくある事だが、対称性のあるt = 1で解を得られるので、答えだけ書いてしまう手もある。

第2問

典型的だが難しめの積分・極限の問題。

(1)cos-3 θ をいかに積分するかがカギだ。分数形式の積分では、分子に分母の微分形が出てくるようにするのが基本だが、分子の次数は1次である事が必要なので、分母分子にcosを掛けて分母を変形する。その後も計算量は膨大だ。

(2) 分母・分子が対数関数で極限を取れない「商の不定形」だ。この場合は、この分数から定数を抜き出して、残った関数の極限値が0に収束するようにすればよい。

数学 東京工業大学 1996 1997 1998 1999 2000 後期入試問題の解説

1996

解答例

第1問

(2)軌跡の方程式はx, yで記述するわけだが、θの範囲が指定されているのでxの範囲も示す必要がある。

1997

第1問

2x = tan θの置換積分をするが、積分区間のx = aの置換では2a = tan αと文字の仮置きをする。

第2問

確率漸化式の問題。Xn がA, B, C, Dにある時は「Oにある時の余事象」として扱えるので、対称性に着目する事でA, B, C, Dにある時の漸化式を作る必要がない。よって一つの漸化式を解けば良いので簡単だ。

1998

第1問

指数aを含む式と指数bを含む式の積の極限。指数aを含む式は無限級数と極限のコラボだから、区分求積法を使おう。すると指数aを含む式が収束すると分かる。分母が”1 -a”となるのでa = 1を例外処理するとlog 2となる。

指数aを含む式は0以外の値に常に収束すると分かったので、次は指数bを含む式を調べる。lim(n→∞)n1-a-b が収束すれば良いのだが、lim(n→∞)n0 = 1としてよい。

第2問

2018年度第4問が類題。

(1)

問題文中に「楕円の方程式」と書かれているので、曲線が楕円となる事は前提として解いてよいだろう。

楕円となる事の証明はMath Stationに掲載されている。Cがl1からの距離が1であることに注目してベクトルで方程式を作り、z = 0を代入している。

(2)

Cは内部を含まないものとして定義されているので、Rは領域内部に空洞ができる。勘違いで内部を含むとして解いてしまった人もいるだろう。

回転体の断面を考察するのが自然な発想だが、空間認識力を要する。z = kに於ける空洞とz軸との距離は、(1)で求めた楕円形との距離に等しいと分かる。(1)はやたらと簡単だったが、重要なヒントになっていたのだ。 この距離は平方完成で最小値を求めるが、同じ手法を2018年度第4問でも使う。

1999

解答例

第1問

挟み撃ちの原理に持ち込む事を狙って被積分関数を”sin2 nx”や”1 /(1 +x)”で挟んでみても上手くいかない。

そこで、「”sin nx”や”cos nx”を積分すれば”1/n”が得られてn→∞により0に収束させられる」という発想が必要になる。感覚的には「三角関数が1乗なら、周期性によりsin nxやcos nx をn→∞としたときに積分結果が0になる」と言い換えた方が腑に落ちやすいだろう。

極限の問題では、対数関数から定数を絞り出して極限を取ると対数関数を0にできるというテクニックがあるが、その積分関数バージョンといった感じだ。よっぽど数学に精通してないと解けないだろう。

2000

解答例

第1問

(1)からf(x)がx = -a でx軸と共有点を持つのが確定したので、これを土台にして a≧0 とa <0で場合分けしていく。a≧0のときは極小値が非負であればよいが、f'(x) = 0の解をf(x)に代入して極小値を求めるのは煩雑なので、平方完成が良い。

第2問

(2)

xy座標系を用意して、伸開線(インボリュート曲線)の回転体積として扱う。これを丁寧に記述すると手間が掛かるし解答用紙の余白が無くなるのでグラフで図示すれば良いだろう。

主な媒介変数表示の曲線でよくある「出っ張り」をθで置換する事で上手く処理できる。実はこの図形に出っ張りがある事に気付かなくても正しい答えに辿り着けてしまう。

置換した後は、途中計算で(1)を使うために各項に含まれる三角関数をsinまたはcosのみに纏めて、3倍角の公式で次数を1にする。3倍角の公式は媒介変数表示の問題でよく使うので憶えておこう。 計算量が多く解答用紙の余白もギリギリだ。

高校物理 東京工業大学2008 (平成20)年度 前期入試問題の解説

分析

解答

[2]

非常に不親切な問題文で何をすればよいか分からないが、ポワソンの式の導出過程を記述するだけ。暗記&忖度だけが要求されるので殆ど不適切問題だ。

(a)

ΔV = (正)ならば、気体は外部に仕事をしているのでΔE = (負)の筈だ。同時に、U = 3/2 PVだからΔP = (負)の筈だ。

断熱過程では体積だけでなく圧力も変化するが、ピストンを動かす際は力が釣り合っていると近似するので、ΔE = -pΔVとなる。

(c, d, e)

近似式が示されている場合はそれを元に立式する。示したい式にはTが含まれてないので、T +ΔTを近似式で変形した後に関係式T = CVaを近似式の形にするためには微小量の項が必要なので、ΔTとΔVを加える。を用いてTを消去するというシナリオを考える。

関係式 T = CVa を繰り返し使うのが印象的。

[3]

〔A〕までは基礎的だが〔B〕からは状況把握が難しく時間を浪費しそうなので後回しが良いだろう。題材が面白いが、装置が特殊なため、状況把握の程度が成績に大きく影響してしまう。よって物理の学力を試す観点からは劣っている。

(c)

ローレンツ力により円運動する荷電粒子の周期(角速度)は、比電荷q /mと磁束密度Bによって決まり、速度には依存しないのだ。

(d)

〔A〕では、粒子はYによる加減速に関わらず周期的な円運動をすると判明した。

図を描いて考察してみれば、粒子が通過するYは1回目と2回目で電位差の符号が逆になっているものと分かる。さらにりるらるのように、粒子の周期Tと交流電圧の周期1 /fn をプロットしたグラフを描いてみよう。

(f, g )

最初の半周と最後の半周では円運動の半径・速度が等しい。

粒子がスリットをd /2ズレて通ったという事は、スリット内のギリギリを通ったという事だから、質量の誤差の最大値を示す。

[4]

(d)

弾性力kxと静止摩擦力4kl/3を比較する。μ = 2μ’, kl = 3μ’mgと指定されているので、動くか静止するかの判断が出来る。

(e)

(c)と同じように、xは二次方程式の解なので候補が二つ現れる。(c)の場合は解の正負で判断できたが、今回は一筋縄ではいかない。Eの大きさが分からないせいでxの大きさも分からないのだから、(c)で得た式においてx > lとすればE > 8kl2 と分かる。

(f)

具体値を求めなくても良いなら、イメージでほぼ正しいグラフを描ける。

高校数学 東京工業大学2001 2002 2003 2004 2005年度 後期入試問題の解説

2001

第1問

三角関数の周期性と、正接関数が-π/2 < θ < π/2 で単調増加である性質を背景とした問題。その背景を見抜いて前述の不等式の形を作ることが必要で、それに気付かず試行錯誤しても時間の無駄となる。

第2問

この手の問題で三平方の定理を使って計算したら負けだ。(1)では直交条件をベクトルで計算する。(2)はA0B0とx軸が垂直なのが分かったので図形的に考察して正弦定理を使う。

2002

第1問

(2)が難しい。

まず、(1)で得た等式を積分するという事に気づく必要がある。(2)の不等式で分母に”2k +1″が含まれるという事はx2k が積分された事の痕跡だ。

更に右辺を不等式で置き換える。分数関数の積分は困難なので置き換えられるように問題が作られていることは多い。

第2問

三角関数の微分は複雑になるので置換する。

2003

第1問

2004

どちらの大問も発想力が必要。

第1問

「モンモールの問題」として有名。解法を知ってないと自力で思い付くのは難しい。

第2問

(2)

C1とC2を連立して対数を取ると文字が対称的な式が出来る。この対称性に着目して、xの関数とnの関数を分離するとよい。この後は「eπとπeの大小比較」という有名問題と同じ解法を用いる。

(3)

(2)と同じようにxとnの関数を分離して極限を取れば、(log x) / x = 0 が必要だと分かる。

但し、対数を取る操作によりx座標の範囲が正のみに限定されてしまったので、C2をy軸対称な図形に置き換える事が必要。ここでセンスが問われる。

2005

第1問

(1)

0 < r < 1 のときのlim (n→∞) nrn が0に収束することを証明するには、二項定理の「指数関数を多項式で近似できる」という性質を用いる。n2rnは項数を増やして近似の精度を上げればよい。

これは知っていないと思いつかないだろう。(2)より正解率は低そう。

(2)

(1)では”0 < r < 1″の条件が与えられているので紛らわしいが、rの値で場合分けが必要。

第2問

(1)

多変数関数の最小値を求める問題なので、平方完成や加法定理を用いて最小値となる条件を求める。

まともに論証しようとすると大変だが、AとBの半径が等しいときに面積最小となるのは容易に予想が付く。なので答えだけでも書いておこう。

(2)

微分をしたら沼に嵌る。分母と分子のどちらかを定数にするテクニックを使おう。

高校数学 東京工業大学1990 1991 1992 1993 1994 1995 後期入試問題の解説

1990

後期日程が初めて施行されたのがこの年度だが、どちらの問題も欠陥がある。

解答例

第1問

まず、「負数の四捨五入」の定義で迷うが、コンセンサスと言えるものはないので欠陥のある問題という事になる。

四捨五入はガウス記号(床関数)の振舞いとは異なるが、ガウス記号と同じように不等式を使って論証できる。それ以外の方法としてグラフを使った論証も可能。

第2問

チェビシェフ多項式がテーマの超難問。類題の経験が無いと歯が立たない。

(1)から論証が大変だ。Pk(x)とQk(x)はそれぞれ、nが増えるごとに符号が入れ替わる。それを示す事でPk+1(x)にはk次、Qk+1(x)にはk+1次の項があると示せるのだが、二つの数学的帰納法を並行して論証するので複雑なのだ。

(2)は問題文に欠陥があり、「Pn(x)は(1)の与式を満たす」という説明が必要だった。その説明があったとしても、「与式の解はx = sin2(kπ/2n)である」という事に着目して(1)の式を利用する必要があるので難しい。

(3)次は「与式= “(2)の与式の展開式におけるxの係数” ×(-1)」である事を見抜く。更に「チェビシェフ多項式がテーマなら漸化式を作ってみる」という知識が必要。

1991

解答例

第2問

答えがπ /6になるのは予想できる。どこを詳しく論証してやれば良いのか迷う問題だ。

東工大だし出題者は微分を使って論証させたいのだろうが、微分を使わなくても説得力のある論証はできる。微分を使わなかった場合にどの程度の得点になるか分からないので、使うのが望ましい。

微分を用いるならば、Pを動かしたときのθの変化を調べたいので、x軸とOPとの角度αを設定して、内積の定義を用いてcos θの関数を作る。

1992

解答例

第2問

Mathematics Monsterでは行列を用いて説明されているが、複素数平面で複素数列の問題としても解ける。

1993

解答例

第1問

空間上斜軸の回転体の体積を求める。問題内容はシンプルだが、方針建てを全てやり、空間認識も必要なので難しい。

立方体をxyz座標系に置き、回転軸を新たな座標軸wとして考え、w軸上の点P(t, t, t)を設定する。このときw = √3・tである。

回転体の半径がwによって刻々と変わるので、”w軸に垂直な平面αと立方体の辺の交点Q”を設定し、PQの関数を求める。αの方程式は、w軸がベクトル(1, 1, 1)で表せてαが(t, t, t)を通るから、1・(x -t) +1・(y -t) +1・(z -t) = 0となる。

半径を求めたら積分するが、半径がxyz座標系で記述されているのに対して回転軸はw軸なのでスケールが異なる。よってw = √3・t で置換積分する。

1994

解答例

第1問

関数方程式の問題。

f(x)が連続という事はF(x)が常に微分可能である事を示しているが、F(x)は絶対値を含む項を持つので、aやbが取り得る値が限定される。

絶対値と来たら場合分けだ。F(x)は絶対値を含む事からx≧bとx≦bで別の関数が得られる。f(x)が連続なのだからF'(b)はどちらも同じ値になる必要がある。

後は(ii)と(iii)を使って定数を確定させる。(ii)はx = 1における情報だから、x≧0の場合の関数にしか代入できないので注意。

第2問

数学的帰納法で示せるが、一筋縄ではいかない様になっている。その解法はMathematics Monsterで紹介されている。nが小さい場合で実験してみると、(2 -√3)n = √(an2) -√(3bn2) となることに気付く。そこで全てのnについて an2 -3bn2 = 1を満たす an, bnが存在する事を示す。

別の解法として、式の形から共役無理数の積を思い付ければ筋が良い。Math Station のように二項定理を使う事で (2 -√3)n = √(an2) -√(3bn2) が示せるが、ここまで辿り着くのも大変なので数学的帰納法が楽だ。

1995

解答例

第1問

空間認識が必要なので題意が把握しにくいが、理解すれば簡単。

第2問

準円とパップスギュルダン定理を既知とする事で、この大問は全ての小問を合わせて3分で答えを出す事が可能だが、それでは方程式や微積の扱い方を測れないので、半分以下の点数になるだろう。

(1)

楕円の準円の方程式を求める。これにはお決まりの解法があり、接線の傾きをmとして楕円と連立してmの二次方程式を作り、二つの解の積が-1となる事と”解と係数の関係”を利用してエレガントに解く。

前期1990、2002年度でも登場している。Pの軌跡が準円となることを既知とすれば瞬殺できる。

(2)

前期2011年度が類題。

[円の回転体] -[楕円の回転体]として体積を求めるが、「∫π(2a +x)2dy -∫π(2a -x)2dy 」という風に回転体の空洞部を除く。その後は積分関数が円や楕円の面積に等しい事を示せば積分計算する必要がない…これはパップスギュルダン定理と実質的に同じことをしているが確実に得点する為のテクニックだ。

高校化学 東京工業大学2005 (平成17)年度 前期入試問題の解説

[2]

  • (2)沸点とは、液体の蒸気圧が外圧と等しくなる温度のこと。特に断りが無ければ外圧は大気圧を指す。よって溶質が溶解しているか否かに関わらず、溶液の沸点における蒸気圧は大気圧に等しい。
  • (4)シュルツ・ハーディの法則によると、電解質のイオン価数が1増えると凝析効果は60倍になる。
  • (5)デンプンは親水コロイドなので、多量の電解質によって塩析する。

[3]

圧力の単位が[atm]だが、[Pa]と同じように計算できる。問iiはモル比 = 分圧比を使うと速い。

[5]

速度定数は、温度と触媒によってのみ変化する。

[6]

  • (4)NaHSO4 は強塩基NaOHと強酸H2SO4 による塩だが、H2SO4 は二段階電離するので溶液は酸性となる。一方NaHCO3も酸性になりそうだが、HCO3 は水溶液中で不安定なため、H2O +CO2 に分解するため塩基性となる。
  • (5)一般に、二段階電離において、二段階目の電離度は一段階目と比べて遥かに小さい。

[7]

(4)銑鉄は数%の炭素が含まれているため脆い。そこで転炉で酸素と反応させCO2 として除去して鋼とする。

[8]

  • (エ)熱濃硫酸は酸化剤として働いた後はSO2となる。ちなみにSO2 は還元剤として働いた後は SO42-となる。
  • (オ)硫酸の第二電離は、電離度が小さい事とHClの存在によって起きにくい。

[10]

チオ硫酸ナトリウムの酸化還元反応はマニアックだが、反応式は与えられているので大丈夫。酸素飽和濃度という概念が見慣れないので、現行課程では扱ってないのかもしれない。

[11]

(問iv)燃焼に際して化合物Aが持つ酸素原子も燃焼に寄与することに注意。

[13]

  • (2)グリセリンの硝酸エステルはニトログリセリンと呼ばれ、爆薬や狭心症治療薬となる。ニトロセルロースも硝酸エステルだ。
  • (6)酵素は強い選択性を持つのが特徴で、主な酵素と基質は一対一に対応している。スクロースにはインベルターゼ、デンプンにはアミラーゼ、マルトースにはマルターゼが作用する。

[14]

ゴムが一種類のモノマーから構成されている場合、そのモノマーの炭素数は4である。具体的にはイソプレン(天然ゴム)、1, 3-ブタジエン(BR)、クロロプレン(CR)がある。

合成繊維や熱硬化性樹脂が主に縮合重合なのに対して、ゴムや熱可塑性樹脂は主に付加重合だ。

高校数学 東京工業大学1993 (平成5)年度 前期入試問題の解説

解答例

第4問を除けば簡単なので全体的には簡単な年度だった。

第1問

「比がkによらない」とは「全てのkについて比が一定となる」という意味。

kとq, そしてkとbの値の大小によっては面積が負になることもあるので絶対値を付けておいた方が良い。

第2問

(2)三角関数にnが含まれるので、積分漸化式を想定しよう。解がπ /2と分かっているのが強力なヒントであり、解がnによらない事が分かる。つまり、与式をInとおくと、In = In-1なのが読み取れるのでこれを示せばよい。

第3問

珍しく小問が4つもある。小問一つ一つは難しくないが、全体として計算量は多いので精確さと効率性が試される。

(1)4次の解と係数の関係「α +β +γ +δ = −b /a」と「αβγδ = e /a」を使えば瞬殺。

(2)Pが変曲点ある場合にPはQやRと一致するから、与式を二階微分して範囲を求めるのが速い。しかしこれは裏技的なので、α < t < βと必要十分となる不等式(t -α)(t -β) < 0を解くのが王道。

(3)L2を整理していく。”β -α”は根号を持つので、後の事を考えるとこれが出てこない形に整理したい。α = βのときはL = 0となるから、(β -α)2 で因数分解できるはずだ。

(4)あとはtで微分するだけだが、少し工夫する。L2はよく見るとt2の多項式であり、(t2 -a)2 の微分が面倒くさそうなので、s = t2 -a としよう。

第4問

整数の難問として有名な問題。配点が30点と小さかったのもあってか、正解率は非常に低かった。2008年度のAOでも再び出題されたことでも話題になった。

最高次数項の係数が等しいn次の多項式同士の差は(高々)n -1次多項式となるのを利用して帰納法で証明する。発想としては自然なので、世間で言われているほどの難問ではない。

数学的帰納法を使う事を宣言すれば1/3の点数が与えられたという噂がある。n = 1の場合に成立する事も示しておこう。