高校数学 東京工業大学2006 (平成18)年度 前期入試問題の解説

分析

解答例

第1問

(1)

簡単すぎて何を書いていいか分からないタイプの問題だが、積分の途中計算くらいは書くべきだろう。

(2)

不等式の左辺と右辺をそれぞれ証明するよりも、不等式の中の三つの式を一つの座標系に表すのが手っ取り早い。

(3)

ここまでの誘導と積分法をいかに活用して中辺を変形していけるかが試されている。式変形の手順は、誘導の小問の順序と一致している。

中辺と(1)の式を見比べると、sin(at) と積分範囲に関して異なっているので、置換積分する事によって合わせる。積分範囲におけるπ /2の係数を自然数にしたいので、積分範囲を分割する。すると[a] /aともう一つの積分関数が得られる。

次はこの積分関数を(2)の式の形に持ち込みたいのだが、ここが難所である。絶対値記号が付いているし、そもそもcosではなくsinなのだ。[a]が奇数であるという事とsinとcosは位相がπ /2ズレているという事から気づけるかもしれないが、グラフで確認するとよい。

東進の解答の様に、(2)の不等式を(3)の不等式を目標に変形していくというのもアリだ。

解き方が分からなくても、「与式の中辺を(1), (2)の形に変形していく」と方針を書いておけば部分点が得られるだろう。

第2問

(2)

条件(b)は、変数x, yを固定してtの関数と見なし、その最小値がm以上であればよい。その最小値は(1)で求めたわけだが、この誘導が無くても解けるようになっておくべきだろう。

微分を用いて関数の形を調べるときは増減表を書く。電数とMath Stationの解答はどちらも増減表の関数表記に誤りがあるので注意。

領域を示す問題では、境界を含むか否かを示す事を忘れてはならない。

第3問

東工大らしい多変数関数の最大・最小値問題だ。まず和集合の面積の関数式を立て、変数を減らしたり固定してから増減を調べる。

東進の解答のように、正弦曲線の内側の三角形の重心に置き換えるという考え方もある。

以下の証明は数学的な計算を全くしていないが、論証としては成立している。

3つの円盤のPでない共有点をそれぞれX, Y, Zとおくと、∠XPY = ∠YPZ = ∠ZPY = 2π /3 である事は直感的に分かる。この状態から円盤をずらすとPX, PY, PZはいずれも重なりが小さくなる線分は小さくなっていき、重なりが大きくなる線分は大きくなっていくので最初の状態が最大値になると言える。

第4問

(1)

証明すべき内容が対称性を持つので、対称性を意識して式を組み立てるのが筋が良い。

東進の解答のように、K, L, M, Nが各辺の中点であるという性質を利用して中点連結定理を用いるのがエレガントだ。

(2)

三角形を正、二等辺、不等辺三角形に場合分けして証明する必要があるかは意見が分かれるところだが、私は不要だと思う。

(3)

BDの中点をQとしよう。

(1)より、MKLN である。さらに、対称性を利用して MKPQ , PQLN も言える。

この四面体が立方体に収まるという性質を利用している模範解答が多いが、これは証明が必要になるだろう。誘導を利用して解いているのはCFVだ。

高校物理 東京工業大学2019 (平成31・令和元)年度 前期入試問題の解説

〔1〕

(a)

O’を原点とする単位円を考えると、O’P上の万有引力は負であるから、そのx成分も負号を付ける。

(b)

問題の題材が単振動である事を見抜くコツは、「物体にかかる力が、ある地点からの距離に比例する」という点に気づく事だ。一般的には誘導によって気付かせるようになっている筈だ。

(c)

「振動中心での速さ = 振幅×角振動数」を用いると速い。

(e)

ここでも「振動中心での速さ = 振幅×角振動数」を用いてXP = vP‘ /ω, XQ = vQ‘ /ωとすると速い。

(h)

弾性エネルギーと動摩擦力がした仕事との間でエネルギーの原理の式を立てる方法と、小物体Pの運動方程式からPが単振動をする事を示して振動中心の等式を立てる方法がある。

〔2〕

(a)

「重力 = 質量 ×重力場」と同じように「静電気力 = 電気量 ×電場」が成り立つ。同様に「磁気力 = 磁気量 ×磁場」も成り立つ。

(b)

xの値によって弾性力の符号が変わるのが難しいところ。こういう場合は具体的に位置を設定して立式してみよう。

(e, f)

ここまでの誘導問題が解けなくても感覚的に解ける。

〔3〕

(c)

ポアソンの式は、ある気体の断熱変化について述べたものだ。したがって、状態Aの気体全体にこの式を適用する事は出来ない…状態Bへの過程で気体の一部が失われているからだ。そこで、状態Aの気体の中で、状態Bと等しい物質量の部分の断熱変化に適用する。

証明すべき式から逆算してPVγの形を復元する方法も有効だ。

(d)

問題文から、x = h1 /P0 やx = h2 /P0 と置くと良いと分かる。後は試行錯誤して近似式の形を作る。

どの近似式を採用するかで近似方法は幾つかに分かれるが、近似計算に慣れてないと難しい。東工大は近似計算の問題が多いので鍛えておこう。

(e, f, g)

ここまでの問題とあまり脈絡がないし、急に簡単になっているので、この答えで本当に良いのかと疑ってしまう。

こういう事もあるから、終盤の設問でも考えてみよう。

高校数学 東京工業大学2007 (平成19)年度 前期入試問題の解説

分析

解答例

第1問

東工大らしく未知数だらけの問題で題意を把握しにくい。具体的な数値を入れてみると把握できるようになるし、検算にもなる。

(1)「pmで割り切れるならばpm +1でも割り切れる」という記述はすべきだろう。

第2問

(1)

複素数平面で回転させる方法を思い付きやすいが、tanが直線の傾きを表す事を利用して加法定理を用いる方が速い。実用的な加法定理の使い方だ。

tanのこういう使い方は珍しく感じる。複素数平面の回転の問題もtanを使った方が良いものもありそうだ。

(2)

T(a)を求める為にy = x2 と直線l の共有点を求める。一方のx座標がaと分かっているので因数分解できる。ただし、ここでは解と係数の関係「α +β = -b /a」を使えば速い。

直線と放物線で囲まれた面積を求めるので、お馴染みの1/6公式が使える…というか使わないと計算量が膨大になる。

第3問

点P, Q, Rが正八角形の頂点だけでなく辺上も動くので注意。こういう時は、初めに「ある辺上を動く点は、頂点にあるときに高さが最大になるので面積も最大になる」と書いておけば、後は動点が頂点にあるときだけを論証できるようになる。

この手の論証は詳しく書こうとすると幾らでも詳しく書けるし時間もそれだけ掛かるので、ポイントを押さえておけば減点はされないだろう。

(1)

△PQRの面積を求める方法には、余弦定理を使って外接円の半径を求める方法と、正八角形の頂点同士を結んで格子を作る方法がある。

第4問

(1)

計算が面倒そうで気が引けるが、淡々と解いていけば答えにたどり着く。

(2)

与式fn(x) = an(x -n)(n +1 -x) は単項式なので、x = n, n+1を解に持つ。更にこの二つの解が隣り合う整数である事から、数列に関わっていると予想できる。

隣り合う放物線の共有点は必ずx軸上にある事に気づくのは大事なところなので、求めるべき領域を図示するだけでも部分点が得られるかもしれない。

lim(n→∞)ではSnは0に近づくので、Tn < S0 + S1 +…+Sn < Tn +1 かつlim(n→∞)Tn = lim(n→∞)Tn +1 となる事を示して挟み撃ちの原理で極限を求めるのが一般的なようだが、無限級数で直接求めるのが手っ取り早い。

高校化学 東京工業大学2015 (平成27)年度 前期入試問題の解説

分析

解説

第I問

〔1〕

  • 3.SiO2は水とは反応しないが、塩基と反応してケイ酸塩を生じるので酸性酸化物である
  • 5.SiO2 +6HF(aq) → H2SiF6 +2H2O

〔2〕

  • ア.アルカリ金属とアルカリ土類金属以外はOHと結合して沈殿する。
  • ウ.AgOHは不安定なのでAg2Oの褐色沈澱に変化する。
  • エオ.錯イオンになる金属は、OH配位子が両性金属、 NH3がAg, Cu, Zn である。
  • カ. Fe(OH)2は淡緑色、Fe(OH)3は赤褐色。

〔3〕

体積の値は与えられているので「原子1個の質量 × 格子内の粒子数」が分かればいい。原子1個の質量は「原子量 /NA」で求められるので、原子1個の体積を計算する必要はない。

意外にもCuの原子半径が最も小さい。

〔5〕

5番はデータを見ると明らかに最も沈殿しにくいと判断できるので、計算するまでもなく正解の一つと分かる。

そうなれば、あと一つ沈殿しないものを見つければ残りの水溶液について計算する必要はないので、5番の次に沈殿しにくそうなものをデータから探し出す。すると3番と4番だけを調べればよいと分かる。

第II問

〔6〕

  • 1.イオン化エネルギーはアルカリ金属において最も小さくなるが、負にはならない。
  • 3.いずれも電子配置は同じだが、陽子との引力が最も弱いのはO2- である。
  • 4.半径が大きいほど電子と陽子の引力は弱くなる。

〔7〕

  • 3. Fe(OH)3 は親水基を持たないので疎水コロイドである。構造上は分散コロイド。
  • 6.ブラウン運動は分散質が熱運動する分散媒から押されて動く現象。

〔9〕

温度が一定ならば平衡定数は不変であるという性質を利用して、状態I, IIを等式で結ぶ。 等式を作ったら、[X2] = [Y2] なので両辺の平方根を得る事が有効になる。

実験2でXYを追加したことでX2, Y2とXYの濃度は変化したが、この濃度は パスナビの様に [X2] = [Y2] = n -A /2 +α /2, [XY] = A +B -αと差の形で表せる一方、 [X2] = [Y2] = n -A /2 +(1 -t)B /2, [XY] = A +tB と割合で表しても解ける。

〔10〕

(ii)

水を追加したことで塩の溶解度が増え、溶液は更に吸熱された。難しいのは、この吸熱によって溶解度が下がっている事だ。溶解度を25℃の場合として設定できないので、ここではtと置く。

水の量が100gから200gへと条件が変わっているので、40℃だったときからの吸熱量を求める事は難しい。よって25℃のときからの変化を立式していく。

難問だが、問iは30,問2は20と切りの良い数値が答えなので、解けなくても切りの良い値を適当に書いておくのは有効かも。

第III問

〔11〕

  • 1.CaOは塩基性酸化物なので、Ca(OH)2に変化する点に注意。
  • 4.130~140℃で分子間脱水によりジエチルエーテル、160~170℃で分子内脱水によりエチレンが生成する。
  • 6.酢酸ビニル(E)を加水分解するとビニルアルコールと酢酸(G)が出来るが、ビニルアルコールはケトエノール互変異性によりアセトアルデヒドに変わる。アセトアルデヒドはヨードホルム反応陽性なので、ヨードホルムCHI3とギ酸ナトリウムが生じる。

〔12〕

  • 1.スルホン酸とカルボン酸は炭酸より強い酸である。
  • 4.アルデヒド基を持つものはない。

〔13〕

1.断りが無ければ幾何異性体と光学異性体も全て数え上げる必要がある。

〔14〕

化合物Aは3-ヒドロキシプロピオン酸または乳酸である。

環状化合物の混合物と鎖状化合物の混合物はそれぞれ、各分子の重合度が不明だが、こういう問題は平均分子量で処理していく。環状・鎖状化合物の平均重合度と物質量について、x, y, m, nのように未知数を四つも設定する必要があるので気が引けるのが難しいところだろう。

この問題も難問だが切りの良い値が答えになっている。

高校数学 東京工業大学2008 (平成20)年度 前期入試問題の解説

分析

解答例

第1問

(1)

ex log yの様にeの指数部に対数が含まれている場合は、yx と単純化できる。またlog bs は、bsが真数であるという性質を考えると、log b +log s とせずにそのままにしておいた方が指数関数的な計算がしやすい。

(2)

h log h のh→0の極限は証明しなくてもよい。証明した方が良いのか分からない事は、後回しにして時間が余ったらやれば良い。

第2問

床関数(ガウス)がテーマなので、「定義に基づく不等式」と「挟み撃ちの原理」を使う事を想定しよう。

関数f が存在するせいで、そのままでは極限を求めることはできない。挟み撃ちの原理で代替となる式の極限値を求めるか、関数f を極限を求められるような形に変形する必要がある。

実のところ、この問題では「定義に基づく不等式」と「挟み撃ちの原理」を使わなくても解ける。寧ろカギは場合分けが出来るかという点にある。

一般に、 lim(x→∞)xnはn = 0のときに収束する。{1 /f(ax -7)} -{1 /f(bx +3)} (A式とおく) の極限を求める為に、 xcからxを幾つか分配することになる。この分配の過程で場合分けが必要になるのだ。

a = b とa ≠ bの場合では、A式のxの次数が異なる。故にcの最大値に分岐が生じる。

第3問

確率の問題だという観念に縛られると、代数的な発想が出てこない。「いびつなサイコロ」という時点で確率の要素は薄いと見るべきだ。

相加相乗平均、平方完成、Schwarzの不等式といった不等式の証明に使う様々な武器をふんだんに利用する問題だった。

Schwarzの不等式は便利なのだが、それを使えるという事に気づくのが難しい。ポイントは「2乗の和」や「和の2乗」があるという点だ。

不等式の証明として平方完成を利用する場合は、完全平方式の中身が差の形「(a -b)2」(a,b≥0)となる必要があるので注意。等号成立条件を意識すれば間違えないだろう。

(1)

Schwarzの不等式を利用すると簡潔・エレガントに求められる。この不等式は(2乗→和→積)≧(積→和→2乗) となっているが大小関係を忘れやすい。そんな時は、a1 = b1 = 0, a2 = b2 = 1 を代入してみるとすぐに分かる。

p1 + p2 + … + p6 = 1 となるのは当たり前だが、代数的に処理していく上では重要な式になる。

(2)

相加相乗平均、Schwarzの不等式が使える。

第4問

点Rの座標x, yの関係式を作り、それが楕円の方程式になっている事を示す。R(x, y)は原点Oからの距離や角度により定義されているので、ベクトルや複素数平面の手法が有効だ。

P, Qの座標は自分で設定する必要があるが、直線上にあるのでそれぞれ変数は一つで良いと分かる。原点を通る半直線上にあるので、方向ベクトルで表す。

そして距離と角度の情報を元にR(x, y)を組み立てる。PQ = 1という情報も組み込む。

高校物理 東京工業大学2015 (平成27)年度 前期入試問題の解説

〔1〕

u とvは書き分け難いので同じ問題中で文字として指定するのはセンスがない。

(a)

錘Aが円運動をしているという事は、Aにかかる力(遠心力, 張力, 重力)の半径方向の合力は向心力となる。

(c)

運動方程式はある物体にかかる力を記述するものである。その事に注意すると、F1, F2 はそれぞれ「錘A ,Bが棒Sに対して掛ける力」であるので、作用反作用の法則を考えて「棒S が錘A ,B に対して掛ける力」は -F1, -F2 となる。

力の作用を書き込んだ図では、力が掛かっている物体がどれなのか明示しておく習慣を付けておくと、この様な問題で勘違いする事が無くなるだろう。

(d)

m < M なので、0 < θ < π では a < 0であると確認できる。

(f)

u -v = u’ -v’ ⇔ (u’ -v’) /(u -v) = 1 なので反発係数は1であり、力学的エネルギーが保存されていると分かる。

(g)

回転子Rが台に固定している様子を想像すると、物体Cが衝突したときに台にまで衝撃が及ぶと分かる。つまり力積が台に吸収されているのだ。

釘も含んだ運動量保存則の式を立式するのが手っ取り早い。

(h)

錘A, B両者の運動・位置エネルギーの合計が力学的エネルギーとなる。各錘の位置エネルギーの最大・最小値が入れ替わるという面白い問題。

〔2〕

(a)

E = Q /εS の公式を憶えていれば速い。

(c)

電場と重力場という二つの場の非接触力が働いている。

(f)

極板を上昇させる事で装置が右に動き、それに伴い極板も右に動くので新たにローレンツ力が働く。ローレンツ力の連鎖がテーマであるが、実験の様子をイメージしないと気づきにくい。

F = qvB を使う方法が思い付きやすいが、 「装置が得た運動エネルギー = 張力の増分 ×z」 という力学的エネルギー保存の法則を利用する方法もある。

(g)

放電回路については、大問の説明文に「鉛直に置かれた」と定義されているので(d)で調べたジュール熱以外の物理現象が生じると予想できる。

放電回路を流れる電流が電磁力を生み出すので、今度は公式F = IBl を使う。

(h)

物理学ではMKS単位系を使う。

〔3〕

センター試験レベルなので全問正解したいところ。

(j)球面波は波源の断面が連続的でなく縦軸対称となっているので、yが負の領域では定常波になる。

高校数学 東京工業大学2013 (平成25)年度 前期入試問題の解説

分析

解答例

第1問

(1)

指数部をnとして数学的帰納法を用いるのが典型的解法。

実はもっと楽な方法がある。αnn -3n = αnn -(α +β)n として、(α +β)n二項定理で展開したものを代入すると各項がαβ = 5の倍数になるのだ。

(2)

パスナビの解答が分かりやすい。

「4個が全て異なる目の場合」×「残り2個がすでに出た目の場合」で計算すると重複が出て上手くいかない。

数え上げでは、「サイコロをグループ分けして順に場合の数を確定して積算する戦法」と「出目が同様に確からしいという性質を利用した特殊(具体)化→一般化戦法」がある。

4個のサイコロの出目が全て異なるような目の組み合わせは6C4 = 15通りなので、この4個のサイコロの出目が1, 2, 3, 4だったと決め打ちして後から15を掛ける。

3個が同じ目になる6個のサイコロの出目の場合(A)と同じ目の2個が2種類になる6個のサイコロの出目の場合(B)は独立事象であるのでそれぞれを足せば求めたい場合の数を得られる。

(A)「3個が同じ目になる場合」を求めて、残りのサイコロの出目の場合を順列で求めて積とする。もしくは、同じ目になる3個の出目が1と決め打ちして、6個の並べ替えを考える。

(B)同じ目となっている2個×2のサイコロにおいて目が1, 2であると決め打ちして、後から4C2 = 6を掛ける。 そして6個の並べ替えを考える…もしくは 1の目が出るサイコロのパターンを確定して、次に2の目が出るサイコロのパターンを確定し、最後に残りの目の並べ替えをする。

第3問

かなりの難問と言われているが、単純な関数が題材なのでグラフが予想しやすく、道筋も一直線なので実は簡単だ。増減の厳密な評価に拘らず答えを書けば大きな得点が得られるだろう。

f‘(x) の増減は指数関数だから分かり難いので、e(ex -1 -xe -1)としてカッコ内の各項の対数を取った関数を評価するという手法がある。もっと自然なのは ex(1 -e1 -x xe -1)としてカッコ内を微分する。

第4問

私はこれが今年度最大の難問だと思う。不等式を単位円で処理するという方法の着想が必要だ。sin(4nx)≧sin x は加法定理を駆使してもnが含まれているので纏まらないのだ。

求めたいのは三角関数の値ではなくxの値(つまり角度)なので、グラフ(直交座標系)より単位円(極座標系)の方が相性がいい。 加えて、nをどれだけ大きくしても-1≦sin(4nx)≦1であり、特にxが定義域の最大値なら常にsin(4nx) = 0という点に着目すると単位円で考えるのが筋が良いと分かる。

その後の立式も慎重にする必要があるので経験が無いと難しい。nが1増すと4nxは単位円を一周するので、xの区間が一つ増えると分かる(グラフからも読み取れる)。

方針が立たなくても、n = 3くらいの時の図を描くとS = π /8に収束しそうな雰囲気があるので、予想だけでも書いておけば5点くらいは得られるかも。

第5問

(1)

楕円の横半径は1で定まっているので、縦半径を想像でビヨーンと伸縮させてみると、縦半径がある値以上になると接点が(1, 0)になるのが分かる。イメージしないと気づかずa = b√(1 -b2)だけ書いてしまうだろう。

この場合分けの計算が繊細なので避けたい。グラフでa = 1 /2となる条件を概説して、共有点が一つになる条件式を立てれば楽になりそうだ…満点が得られるかは分からないが。

(3)

p = 1 /√2 なので、楕円を半径1の円に戻したときにOPの偏角はπ /4になるのを利用すると積分計算が不要になり劇的に速くなる。

最後の√13 /12 -2 /27 の計算が面倒だが、模範解答によると計算せずそのままでも良い。

高校化学 東京工業大学2017 (平成29)年度 前期入試問題の解説

分析

解説

第I問

〔1〕

  • 1.クーロン力はイオン価数と結合距離に依存する。
  • 6.説明文はモル質量を指している。用語の厳密な定義を問われている。
  • 7.理想気体では体積は等しいが、実在気体では分子間力があるのでH2の方が大きい。東工大は断りが無ければ気体を実在気体として扱うという方針の様だ。

〔2〕

  • 1.温度を下げる事で、活性化エネルギー以上のエネルギーを持つ分子が減るので反応速度が下がる。
  • 2.反応速度はv = k[A]m[B]n のように表されて、速度定数は濃度ではなく温度に依存する。
  • 4.触媒により活性化エネルギーが小さくなるので、正反応と逆反応はいずれも活発化する。その結果、平衡へ早く達する。
  • 5.圧力が上がると分子同士が衝突しやすくなるので反応速度は上がり得る。
  • 6.活性化エネルギーを超えるエネルギーを持つ分子が2倍になった時に反応速度が2倍になる。

〔3〕

「反応熱 = (生成物の生成熱の和) -(反応物の生成熱の和) 」を使いたいところだが、与えられているのは燃焼熱。

問題自体は簡単だが、熱化学方程式の計算に時間が掛かる。計算する前に選択肢を読んで絞り込んでおけば、一部を計算せずに解答を確定できて時短になる。

〔4〕

東工大にしては気前よく体積や温度の数値が計算しやすいものに設定されている…と思ったら、「分圧比 = 物質量比」を使い体積や温度を使わずに計算した方が速い。まるで引っ掛けだ。

等積・等温の混合気体の問題では 「分圧比 = 物質量比」を使おう。この問題では一度、温度が変化しているので紛らわしい。

〔5〕

ヘンリーの法則に関する問題だが、「体積と圧力の関係」という発展的な内容を扱っている。

状態方程式によると「V ∝ n /P」なので、圧力がいくつであっても、溶媒に溶解する気体の体積は一定である(物質量は圧力に比例する)。これは

これを問題文で与えられた文字で当てはめると、圧力はP0またはPであっても溶解する気体の体積はV0V1 /2 だという事だ。

気体が水に全く溶けない(V0 = 0)と仮定すると検算になる。

第II問

〔6〕

  • 1.Rb, Csの炎色反応なんて誰も知らないだろう。ちなみに第二族元素は放射性元素のRa(第7周期)も洋紅色の炎色反応を示す。
  • 3.原子半径が大きいほどイオンのクーロン力が小さくなるので電気陰性度とイオン化エネルギーが小さくなる。それにしても「イオン化エネルギー」という表現では陰・陽イオンのどちらを指すのか分からないので直すべきだ。
  • 4.硫黄の3種類の同素体が有名だが、WikipediaにあるようにS, P, Oの同素体は意外といっぱいある。
  • 5.共有結合結晶としてdaiamond、黒鉛、Si, SiO2が挙げられる。黒鉛の原子は自由電子を持つため電気伝導性がある。それ以外は価電子が全て共有結合に使われている。その中でSiはクーロン力が小さい為に結合が脆く、僅かに電気伝導性がある。

〔7〕

  • ア.「石灰」の字が入っている物質にはCaが含まれる。
  • イ.Siの単体は天然には存在しないため、ケイ砂(SiO2)をコークスとともに加熱して粗製のSiが生産されている。
  • ウ.「2NaCl +H2SO4 → Na2SO4 +2HCl」とならない仕組みは、弱酸遊離反応と同じだ。 NaClとH2SO4 だとHClが遊離するが、NaHSO4とHCl では後者の方が酸性が強いので反応しない。
  • オ.硫酸の工業的製法「接触法」の過程の一つ。二硫化物イオンはS22- である。
  • 1.塩基性酸化物には金属が含まれるのでA, D, Eに絞られる。
  • 2.有色気体はF2, Cl2, NO2, O3 に限られる。ハロゲンの単体は有色だが、水素と結合すると無色になる。ドライフルーツの風味はSO2にも由来している。

〔8〕

  • ア.AgCl, PbClの(ともに白色)沈殿を生じる。
  • イ.Cu2+, Ag+, Pb2+, Zn2+ がS2- と反応して黒色沈殿(ZnSは白)するが、Zn2+は中性・塩基性条件下のみ。
  • ウ.H2Sは還元剤なのでFe3+をFe2+ にしてしまうので、H2Sを除いて酸化剤の希硝酸を入れて再びFe3+にしている。塩基によって両性金属、Cu2+, Ag+, Fe3+は沈殿し、さらにNH3と錯イオンを作るのがZn2+, Cu2+, Ag+ だ。
  • 1.希硫酸と反応して沈殿を生じるのはCa2+(石膏に含まれる), Pb2+(鉛蓄電池で析出)。
  • 2.クロム酸カリウムやヨウ化カリウムと反応して黄色沈殿を生じる。
  • 6.アルカリ土類金属は CO32- やSO42-と反応して沈殿する。

〔9〕

高純度のNaOHを生産する陽イオン交換膜法が題材。

陰極側では、イオン化傾向がNaよりH2 の方が小さいのでH2Oが分解されH2が発生する。ゆえにOHが多くなる。

陽極側では電解により陽イオンが多くなり、 陰極側では陰イオンが多くなる。陽極側のNa+がクーロン力により交換膜を通り陰極側に行くので陰極側のNaOH濃度が高まるのだ。

〔10〕

球の体積は4πr3 /3 である。初めに単位格子の辺の長さ、M+ , X の半径を 6*108で割っておくと計算が楽だ。

第III問

〔11〕

  • 1.アルカンは標準状態ではC5以上は液体、C18以上で固体だ。
  • 2.アルケンまたは環式アルカンがCnH2n となる。
  • 4.題意が不明瞭。例えばシクロプロパンの置換体も二重結合した化学式を考慮すれば構造異性体が存在する。

〔12〕

  • 3.アルコールのOH基は分極しているので水素結合をし易く、これが分子間力を齎す。アルコール級数が大きくなると近くの官能基が邪魔になり水素結合し難くなるので沸点が低い傾向がある。
  • 4.KMnO4は第一級アルコールをアルデヒドやカルボキシ基に、第二級アルコールをケトンに酸化する。この酸化還元反応によりMnO2の黒色沈殿を生じる。

〔13〕

  • エ.石油を分留すると、沸点の低い物から石油ガス、ナフサ(粗製ガソリン)、灯油、軽油、重油が得られる。
  • 1.ポリアクリロニトリルは毛糸の製造などに使われるが、燃焼すると猛毒のHCNが発生する。
  • 2.ポリ塩化ビニルは文字通りビニールと呼ばれるものの材料になっている。他にも消しゴムや水道管にも利用されており、吸水性はない。
  • 3.ダイオキシン類は塩素を含む物質の不完全燃焼や、薬品類の合成の際、意図しない副合成物として生成する。
  • 4.ナイロン6は、ε-カプロラクタムのアミド結合を開環したもの。
  • 5.高圧下では分岐の多い低密度のポリエチレンが出来る。
  • 6.主な熱硬化性樹脂はホルムアルデヒドの付加縮合を必要とする。

〔15〕

易しい構造決定問題。

FeCl3 水溶液はフェノール類を加えると、フェノールは紫色、o-クレゾールは青色、サリチル酸は赤紫色になる。従って(ウ)よりBはフェノールだと分かるが、実は色を憶えていなくても、炭素数6という事はベンゼン環以外に炭素原子を持たないので特定できる。

ゆえにBはエステル結合をしていたと分かる。

αアミノ酸はproline以外は中心の炭素原子にH, NH2, COOHの官能基を必ず持っている。Cは不斉炭素原子を持たないので側鎖はHである。よってCは炭素数2。

加水分解されたDは等電点3.2なので側鎖にカルボキシ基を含む。五員環なので、このカルボキシ基とアミド基がアミド結合したのがDであり、Dはカルボキシ基を一つ持つと分かる。ゆえにAの端の部分を構成する。

高校数学 東京工業大学2014 (平成26)年度 前期入試問題の解説

分析

解答例

第1問

(2)

an -bnを表すnの多項式を愚直に展開していくと面倒なので、因数を保持したまま解き進めていきたい。ここでヒントになるのが(1)で示した6の倍数の十分条件で、これを使うと上手く証明できる。

ある式がn倍数である事の証明は、連続する整数の積で表す方法を使うのが一般的だ。

第2問

(1)

f(t) = et, g(t) = 1 +t et /2 と分けて大小比較する方法も思いつくが、グラフで表して考察するときは便利だが、この場合はg(t) をグラフ化しにくいので筋が悪い。

一階微分では傾き具合が分からないので、tの定義域端での値が0である事と二階微分での増減から単調関数である事を証明する。二階微分しても関数が相変わらず複雑であっても、tの定義域端での値が0 なら方向性は正しいと信じてよいだろう。

この問題を解けばa = 2が範囲の境界であると分かるので、(2)で場合分けする際の目安になる。

(2)

a > 2 の場合は与式と比べれば計算するまでもない。

誘導の(1)が無ければ、aの境界を自力で探る必要があるので手ごたえのある面白い問題になっただろう。カギはlog (1 -a)の符号が変わるaの範囲である。

第5問

微積の問題だが、「解と係数の関係」とβ関数を使って微積の計算を一切せずにすべての答えを出せる!

(1)

共有点を求める式は、曲線Cが接線とxk -1で接しているので、(x – xk -1)2 という因数を含んでいる。

そして電数の解答の様に、3次関数と接線の接点以外の共有点であれば、3次関数の解と係数の関係「α +β +γ = −b /a」を用いてxk の値を得られる。 接線の方程式を求めたり複雑な因数分解を回避できる凄いテクニックだ。

求積にはβ関数の公式を使える。

(2)

x0 = 1を出発点として、それに続くxk が次々と決まっていく様をイメージすると、数列を形成する事が分かる。

これも電数の解答の様に、(1)と同じく接線の方程式を求めたり複雑な因数分解をせずにxkの漸化式を得られる。

(1)で扱ったC上の点(1, 3)はk = 0に相当するので、等比数列の公式の次数は「k -1」ではなく「k」となるので注意。

(3)

何はともあれSk の一般項を求める必要がある。立式には(1)で行った手順を使うが、積分区間として現れるxk とxk -1を置き換えるのが(2)で求めたxkの一般項だ。

高校物理 東京工業大学2017 (平成29)年度 前期入試問題の解説

〔1〕

(b)

円柱の単振動の弾性力は「浮力 -重力」なのでρS(L -x)g -(2 /3・ρSL)g と立式出来る。

(d)

時間に関する情報が与えられていないので、等加速度運動の公式「v -v0 = 2ax」を用いると速い。

(e)

図2(i)の円柱の位置では速度が0なので、ここを振動の端にしたいところだが、これが引っ掛けなのだ。(b)の弾性力の式の浮力の項は、xが小さいほど浮力が大きくなるという一次関数になっているのだが、円柱上面が液面より下になる場合には成立しない。単振動には色々な種類があるが、二つの向かい合う力の強さが連続的に変化して交互に入れ替わるという点で共通している。

結局、(ii)と(iii)の状態を比べてエネルギー保存則の式を立てることになる。

(ii)の状態は速度が0ではないので、単振動の端ではない。この単振動の振幅は更に大きいのだが、この実験では現れないのだ。(ii)と(iii)はどちらも単振動の端や中心ではないが、速さと位置の情報があればエネルギー保存則を立式できる。

(g)

(f)で求めた張力Tは距離xの一次関数であり、求めたい仕事は「力×距離」で表されるので、Tをx(0 ~ L /3)で積分すればよい。

「外部からした仕事」という不自然な表現から、以降の小問がエネルギー保存則を利用すると推測できる。

〔2〕

(a)

磁場中にある棒には電源によって電流が流れているので、電磁力が発生する。

棒が乗っているレールはθ rad傾いているので、重力と電磁力も影響を受ける。以降の小問では、レールの傾きに常に注意する必要がある。

(c)

(a)と同じように力が釣り合っているが、今度は棒が動いているので電磁誘導も発生している。(b)でI1 が減少したので電磁力が弱まり棒が転がり始めたが、加速する事により電磁誘導でI1 が増加したのだ。

磁場が生み出す力は電磁力(またの名をローレンツ力)しかない。棒をvの正方向に引っ張る力はmg sin θで不変なので、電磁力とI1 が再び(a)と同じ量になったということだ。棒の速度が一定なら、重力と電磁力が釣り合っているという事だから、電流も常に一定と言えるのだ。

ここで二つの回路方程式を立てれば、I2と v1 が分かる。

(e)

考え方は簡単だが、I2 の定義された向きとは逆に電流が流れるので注意。図を書いておけばミスはなくなるだろう。

(f, g, h)

ここまで求めた値を比較してグラフを選ぶ問題だが、値が求められなかったとしても雰囲気で絞り込める。

(h)は雰囲気で選ぶのは難しいが、I1 とI2が通る導線は並列なので、棒が減速するにつれて誘導起電力が減るとI2 も減る。

〔3〕

(a)

(ア)速度(velocity)はvector、速さ(speed)はscalarである点に注意。日頃から区別していないと分からない。偶然にも英語の頭文字が対応しているので、これを知っていれば間違えることはない。速度はvectorなので計算する上で都合がいいのでよく用いられる。

(b)

問題文で「u2を無視する近似を使う」と書かれている事から、計算過程で速度の2乗を使うと分かる。そこから運動エネルギーを立式すると推測できる。

気体分子の衝突後の速度の計算では、反発係数の式を利用して「1 = -(v’ -u) /(v -u)」と立式する。反発係数が1という事は、衝突前後で運動エネルギーの総和が等しい筈だ。ピストンの速度は衝突後に増加する筈だが変わっていないという事は、外部から抑え込む力が加わったことを示している。ここから運動エネルギーの総和の総和が減少していると言える。

(c)

(b)を誘導として、(1分子の仕事) ×(1分子がΔtの間にピストンに衝突する回数) ×(N個)として求める。

(d)

(c)を誘導として「圧力 = 仕事 /距離 /面積」で計算すれば瞬殺。

前問を誘導とする問が多いので前問に注目するのが良い。前問を誘導としているがそれが解けなかった場合、「前問の解をxとする」のようにして立式しておけば部分点が得られるだろう。

(e)

熱力学第1法則にはWを外力とする場合(ΔU = Q +W)と気体の仕事とする場合(Q = ΔU +W)がある。ここでは後者である。

与えられた記号から、W = p ΔV, ΔU = 3nR ΔT /2 を連想し、熱力学第1法則で立式する。

(f)

計算不要の簡単な問題なので、他の小問が難しくても解いておこう。

(g)

問題設定は少し複雑に見えるが、断熱変化なので内部エネルギーの変位を求めればよいだけだ。両領域とも物質量と温度は同じになっているので、内部エネルギーの変位はどちらも3nR(T’ -T0) /2 である。

(h)

T’ = TAなので、TA を使わずに解答できてしまうので良い問題ではない。