高校数学 東京工業大学2016 (平成28)年度 前期入試問題の解説

第1問

(1)三平方の定理でPQ2の式を立て、微分で極小値を求めるのが王道。それ以外の解法として、PQがC1の法線となる事を利用する事も出来るが、法線となる場合に最小値を取ることを証明する必要があるかもしれない。

(2)こちらの小問の方が易しい様に思える。

第2問

(1)簡単すぎて何を記述すればいいのか困るが、「△BPR ≡ △CQP ≡ △ ARQ」という必要十分条件くらいは書いておいた方が良さそうだ。

(2)対称性に着目して、T1とT2が正三角形になる場合の数を調べ、3C2倍する。

(3)多変数関数の最小値を求める問題として解くのが王道のようだ。三角形の底辺と高さがより小さいものの面積を求めるパスナビの解法もアリだろう。

第3問

(1)これは(2)への強力な誘導であり、これが無ければこの大問は「やや難」だろう。いずれにしても、軌跡を如何にして立式するかが大事だ。

(2)r1 = r2 のとき、軌跡は直線となる。 r1 ≠ r2 のとき、 P1, P2 との距離の比が一定なので「アポロニウスの円」となるが、自明なものとして扱っていいか分からないので立式した方が無難だ。

第4問

東進はこの大問を「やや難」と評価したように、今年度最大の難問である。また2011年AOでも同様の問題が出題された。

難しいのは(2)だが、具体的な数で試行錯誤すれば何を証明するべきかは見えてくる。

第5問

1989年度でも外サイクロイドが出題されたが、こちらの方が易しい。

(1)3倍角の公式を憶えていると速い。増減表の記述は必須だが、媒介変数tは定義域両端と導関数が0になる値を書けば十分。

(2)n次の三角関数の積分は、加法定理を用いて次数を下げるのが速い。

高校化学 東京工業大学2014 (平成26)年度 前期入試問題の解説

第I問

〔1〕

  • (1)ハロゲンは原子価が1なので、1価の陰イオンに最もなり易い族である。つまり単原子分子の状態よりイオンの状態を好むのだが、ハロゲンの間でも小さい周期の方が電気陰性度が高いので、KBrからKClに入れ替わる。
  • (2)O3 は強い酸化力を持つので、KIを酸化してI2の単体を生じさせる。このI2 がデンプンと反応して青紫色を呈する。但しAは臭素なので誤り。
  • (5)KIは標準状態では反応が起きないのでエネルギーを与える必要がある。ただし原子間結合を完全に断ち切らずとも活性化状態になれば反応が進むので、結合エネルギーより少ないエネルギーを与えればよい。

〔2〕

  • (イ)刺激臭を持つ気体(分子量)はCl2(71), HCl(36), NH3(17), NO2(46), SO2(64), HF(20) の6つだが、 Cl2 は黄緑、NO2 は赤褐色なので除外。空気の平均分子量は29なので NH3(17), HF(20) が残る。
  • (ウ)石灰水とCO2 の反応だ。錯イオンの生成過程にも似ているが、AがNaOHでもNH3でも無い事、炎色反応、「通じる」という奇妙な表現から違いに気づける。炎色反応は、アルカリ金属ではCaは橙赤、Srは紅、Baは黄緑。
  • (2)N2, H2 を Fe3O4を触媒として高圧下(低温でも可能)で反応させてNH3 を作るのがハーバーボッシュ法。
  • (3)Ca(OH)2 は溶解時に発熱することが原因で温度を上げると溶解度が下がる。温度を上げると溶解度が上がるのは一般的なので疑うべき問題文だ。
  • (4)H2CO3はH2OとCO2 に分解する。

〔3〕

問i

酢酸の物質量は0.01mol、NaOHはV *10-4mol となり大小関係が不明だが、pHの範囲が3.5~5.0なので酢酸の方が多いと分かる。

ちなみに、緩衝液は弱酸(塩基)とその塩の混合溶液から成り立つので、NaOHが多いと緩衝液にはならない。緩衝作用の本質はルシャトリエの原理によるH+(OH)の電離の抑制にあるが、強酸(塩基)は電離度が1なのでこれが持つH+(OH)の電離を抑えられない為だ。

電離定数は、水溶液中のあるイオンのモル濃度が変わっても一定なので、 [CH3COOH]と[ CH3COO] を Kaの式に代入する事で[H+]が分かる。

問ii

和が最小になるのは緩衝作用が最強の場合な(札幌医科大の資料)ので、[HA] = [A]を満たす。pHの選択肢は3桁だが、どれも2桁目が異なるので3桁で計算していけば十分。

体積は [HA] = [A] を利用する。

〔4〕

電池の仕組みと電気分解を組み合わせた問題。

問i

電子が流れ込んでくる極板は、電解槽では陰極、電池では正極だ。

問ii

密度とは硫酸ではなく水溶液全体を指している。

第II問

〔5〕

(5)強酸・強塩基の溶解熱は発熱である

〔6〕

問i

熱化学方程式は、どの項を1 mol として立式するかがカギだ。燃焼熱は燃焼させたい分子、生成熱は生成させたい分子を1 molとする。

問ii

  • (1)反応熱(kJ /mol)は、一般に25℃、105Pa という条件下でのものを指す。つまり温度や圧力が異なれば、反応熱は別の値になるのだ。これは反応に用いられる物質の運動エネルギーが異なる事を考えれば自然なことだ。
  • (2)イオン化傾向はAl > Fe であり、酸化物の安定性はAlの方が高い。またテルミット反応では2Al +Fe2O3 → Al2O3 +2Fe の過程で激しい熱と光を生じるので、アルミナの生成熱の方が大きいと分かる。

〔7〕

水の分圧を状態方程式を使って求め、飽和蒸気圧と比較するようにしよう。

〔8〕

この手の問題は、物質の状態が温度変化と共に変わる様をイメージするのが良い。

問i

溶解度曲線をイメージすると解きやすい。

問ii

水溶液の温度を下げていって氷が析出した事で、溶解平衡の状態になった。これによりモル凝固点降下の式に当てはめる事が出来るのだ。

モル凝固点降下は Kf = Δtf・kg /mol で表される。しかしこれは唯の係数なので変形して、モル凝固点降下度Δtf = Kf・mol /kg とした方が”mol /kg”が質量モル濃度を表しているので分かりやすい。

とにかく計算が面倒。

問iii

状態Cは気液平衡なのでモル沸点上昇の式に当てはめる事が出来る。

モル沸点上昇もモル沸点上昇度Δtb = Kb・mol /kg とした方が分かりやすい。どちらも質量モル濃度に比例するのだ。質量モル濃度という単位はこの二種類を表す場合でしか使わない。

カギは状態Cの気体の温度を求められるかにある。沸騰している水溶液の沸点は100 +Δt(℃)であり、気体の温度も同じだ。沸点上昇の理解度を問う良問だ。

第III問

〔9〕

  • (ア)CaC2 +2H2O → Ca(OH)2 +C2H2 という反応になる。有機化学の問題なのでC2H2 である。
  • (イ)付加反応は付加する物質の全ての原子が加えられる反応だ。
  • (エ)塩化パラジウムと塩化銅を触媒としてアルケンを酸素でカルボニル化合物へ酸化する方法をワッカー法という。
  • (オ)フェノールの製法の一つ。Clは電気陰性度が高い為にOHに置換される。
  • (1)イソプロピルベンゼンの別名がクメンだ。これを酸化、分解するとフェノール(化合物F)とアセトンが出来る。
  • (2)酸の強さは「フェノール < 炭酸 <カルボン酸」なので、NaHCO3 と弱酸遊離反応を起こすのは化合物C・Eだ。
  • (3)化合物C(酢酸)は酸性なので、ヨードホルムと中和してしまいヨードホルム反応が起きない。
  • (5)アセチレンに硫酸水銀を触媒として水を付加するとアセトアルデヒドが出来る。この生成過程で使った水銀が水俣病の原因となった。

〔10〕

不飽和度は9だから、ベンゼン環(不飽和度4)を二個、二重結合を一つ持つと分かる。この二重結合はエステルのCO結合だ。

ヨードホルム反応を起こした試料はC(O)ONaとなる。この塩を塩酸で処理するのカルボキシ基が出来る。

  • (2)アルケンと言っても、ベンゼン環は残っている。脱水すると、O原子と結合していたC原子が二重結合を持つことになる。
  • (3)ナトリウムフェノキシドを高温高圧下でCO2と反応させサリチル酸を作る事をコルベシュミット反応という。
  • (5)どちらも塩基性化合物ではないのでHClと反応しない。

〔11〕

問i

  • (2)マルトースはαグルコース同士の1, 4結合なのでヘミアセタール構造を一つ持つ。反応式を憶えていないと答えられないが、「アルデヒドと水酸化銅の反応」と考えると解ける。ちなみに銀鏡反応は「アルデヒドと酸化銀の反応」と考えて1 mol, 2molずつ生じると分かる。
  • (3)単糖類は全て還元性を持つ。
  • (5)デンプンはデキストリン、マルトース、αグルコースという過程で分解される。

問ii

単糖類はどの種類もヒドロキシ基を5個持っているので、化合物Aの繰り返し単位のヒドロキシ基は3個(これが分からなくても答えの見当は付く)。

そして鎖の両端のヒドロキシ基も計上するのが肝。「デンプンを部分的に加水分解した」と説明されているので、高分子と想定してはいけないのだ。

化合物Aはアミロースではなくアミロペクチンである可能性がある事に気づいただろうか?アミロペクチンの場合は分岐を考慮する必要があるが、繰り返し単位のヒドロキシ基は3個になるので結果的に「化合物Aはアミロースである」と想定しても正解に辿り着く。

高校物理 東京工業大学2014 (平成26)年度 前期入試問題の解説

〔1〕

(b)

「重力」と「静電気力」はともに保存力なので、これらの位置エネルギーの合計は保存される。つまり、「重力の位置エネルギー + 静電気力の位置エネルギー +運動エネルギー = const.」である。ここからエネルギーの原理を立式する。

小球がPにある瞬間と、逆向きに運動し始める瞬間のエネルギーを等式とする。いずれの瞬間も運動エネルギーは0なので、重力の位置エネルギーと静電気力の位置エネルギーを足せばよい。

「振動の中心となる角度が釣り合いの位置である」というのは自明ではないので証明が必要だと思うが、この事からも答えを出せる。

(d)

まずは小球にかかる力を全て書き出す。そしてこの問題は、向心力や張力の意味を理解していないと解けない。

  • 向心力とは円運動する物体にかかる力の内で中心方向のものを指す。逆に言うと、向心力のお陰で物体は円運動しているのである。
  • 張力は、静止した物体を糸が引っ張るわけではない事を想像すれば分かるように、受動的な力である。この問題に於いては、向心力と重力とローレンツ力の関係を記述する上で帳尻合わせとして使われている。

(e)

糸が弛むのはT≦0 の時だが、vを消去する必要があるので、単にT = 0の式を解くだけでは駄目だ。

「B1 より小さいとき糸が弛まない」という事は、B1 は取り得る値の最小値でT≧0が成立なければならない。「B1 より大きいときある位置で糸が弛む」という事は、弛まない状態も含まれている。そこでvを纏めて平方完成(あるいは相加相乗平均)させ、vの範囲を評価するという難問。

〔2〕

(a)

コンデンサーの電気容量は、εS /d で表される。εは定数部1 /4πk を纏めたものだ。残りのS /d は、 極板の面積Sが大きい程、極板間距離dが小さいほど電気容量が大きくなることを表している。

(c)

スイッチを切った事で電気量は不変となるので電場も不変となる。コンデンサーの電場はE = Q/εS なので極板間距離に依存しないからだ。これは、極板間では全ての電気力線が平行である事からも分かる。

コンデンサーの電場Eは二つの極板がそれぞれ出す電気力線の和に基づく。つまり一つの極板が作る電場はE /2 である。よって極板Bの静電気力はqE /2である。

(d)

[注意]空間1と空間2が密閉された状態で静電気力により極板Bが動いたとすると、空間1, 2の気圧はどちらも変化しているので両者を計算する必要がある。ところが(b)で栓2を開けたままの状態が続いているので空間2に関しては気圧はP0 である。問題が不親切なのが悪いが、錯覚しないように条件変更の文毎に状態を纏めておくと良いだろう。

「空間1の気体が極板Bを押す力(P2S)」と「静電気力 + 空間2の気体が極板Bを押す力(P0S)」が釣り合っている。

(e)

検流計の値が0という事は検流計の両端の電位差が0である。そしてC1 左端の電位が V1sin ωt なのでC2 左端の電位も V1sin ωt だ(電流は同じとは限らない)。 また「R1の抵抗とC1 のコンデンサ」「R2の抵抗とC2 のコンデンサ」 がいずれも直列である事が分かる。

電流をR1 , R2 を用いずに表すというのは、コンデンサに流れる電流で表すという事だ。高校物理の備忘録に書かれている手順で、V1sin ωt をQ = CVに代入して、電流を求めたいのでQを時間微分する。

問題文には優しく sin ωt の微分の関係式が書かれているが、東工大受験生なら参考にしなくても解けるだろう。

(f)

(e)の答えを利用する問題だが、(e)が分からなくても、電流と電気容量は比例するので答えられる。

(g)

図に圧倒されるが、 (d)の解を利用しつつ、未知数を変形して気圧の関係と結びつける。

〔3〕

手際よく処理すれば高得点を得られる。

(c)

この問題では、弦が生じる二つの音は、張力Sやうなりに関して数学的な対称性を持つので、対称的な形を保って処理していくと効率的だ。

(e)

ここから、難しくは無いが計算が面倒になってくる。

[9] yn は2A・sin (2πfnb /v)が全て係数部だから、cos (2πft)を二階微分すればよい。

[11]m /b は線密度を表している。

高校物理 電磁気学のメモ

電流計・電圧計

繋ぎ方の違いについて。

  • 電流計は測定したい回路に直列に繋ぐ。並列に繋ぐと電流が分岐するので正確に測定できないからだ。
  • 電圧計は逆に並列に繋ぐ。電圧とは二点の電位差であり、直列では電位差が生じないためだ。

内部抵抗の違いについて。

  • 電流計は直列繋ぎなので、測定したい回路の電流量への影響を減らすために、内部抵抗を出来るだけ小さくする。
  • 電圧計は並列繋ぎなので、測定したい回路の電流量への影響を減らすために、 内部抵抗を出来るだけ大きくする。

分流器と倍率器の違いについて。最大測定範囲を広げるという事は、計器に流せる電流を増やすという事だ。

  • 電流計には「内部抵抗を出来るだけ小さくする」という制約がある。そこで計器の回路に抵抗値がより小さな抵抗を並列繋ぎする事で、計器に流れる電流をそこに迂回させる。これにより、内部抵抗を抑えつつより大きな電流を流せるようになる。
  • 電圧計には「内部抵抗を出来るだけ大きくする」という制約がある。 そこで計器の回路に抵抗値がより大きな抵抗を直列繋ぎする事で、大きな電流を流せるようになる。

高校数学 東京工業大学2010 (平成22)年度 前期入試問題の解説

Math Station の解答

〔1〕

(1)

0 < x < π /2で単調減少、π /2 < x < π で単調増加する事も記述しておくと丁寧だ。

(2)

これは問題文の「sin αの式で表せ」の意味が紛らわしいが、sin α を含む項のみによって式を記述するということ事だ。

(3)

αの推定範囲を絞り込んでから、Jをαの関数として評価する。この範囲内で減少関数である事に注意。

f(α) = 0 という性質を利用するとJ = 2 sin α という単純な式になるという(2)の誘導を利用しているが、この誘導が無いと気づきにくいだろう。 もし誘導が無ければ、√2という値から連想して、sin やcos にある角度を代入するとJがこのような値になると予想しよう。

〔2〕

Math Station の解答が分かりやすい。

ガウス記号と来れば、[x] ≤ x < [x] +1 ⇔ x−1 < [x] ≤ x を連想できなければならない。

√(a +1) -1 < x ≦ √a に於いて解の無いaを求めるコツは、左辺とxが等号なしの不等号の関係になっているのを利用する事。左辺を整数にする事でxが整数になる余地を奪うという訳だ。また、漸化式の様に両辺の係数や指数を同じになるように整えるのもコツだ。

(3)は(1), (2)の誘導によって一般項が想像し易くなっている。誘導が無くてもこうやって具体的な項を求めてみる事が大事だ。

与式の「解を持たない」値を元に無限級数を求めるというユニークな問題。 短い数式とその奥深さのギャップが面白い。

〔4〕

今年度最大の難問。

与えられた条件を汲み取りにくいが、点Qは任意の点を意味するので取り得る範囲全てで成立する条件を図示する。そこでAQ = tAP (0 ≦ t ≦ 2)と立式する。

結論の式を代数的に整理していくと、”x2 +y2“という形式から円の式を含む事が分かる。複素数平面もそうだが、この手の問題はx, y の形式から見定めて円や直線の式を強引に作るのが良い。そしてそれらの式を崩さずに処理していく。東進とMath Station で円の式の形(中心位置)が異なるが、いずれも答えを出せている。

Math Station の解答で「f(t)≧0 ⇔ f(0)≧0∧f(2)≧0 」と置き換えられる理由は、 f(t)≧0 が「0≦t≦2を満たす全てのtで f(t)≧0」を表しているからだ。 f(t)の傾きである”x2 +y2 -2ax”は正負がxにより変化するので、tの定義域の両端のどちらで最小値を取るか決まっていないので論理積にする。

条件式の分母に0を取り得るOQがあるから、OQ = 0となる領域を除外する。

角の二等分線を使った解法

ちなみに、内外角の二等分線の性質を使って平面図形の問題として解くことも出来る。

  • Pが中心(a /2, 0)、半径a /2の円周上にある場合、OPが△OAQの内角の二等分線だとすると、t = 2 のままQをA側に動かすと結論に反する。
  • x < 0 の場合、OPが△OAQの外角の二等分線だとすると、QをA側に動かすと結論に反する。

この方法は、点を移動するとQP /OQ > AP /OA となる事を証明する必要があるだろう。

高校数学 東京工業大学2009 (平成21)年度 前期入試問題の解説

〔1〕

東工大にしては非常に簡単な問題。

点A, Bの座標を表すのに使う記号は、xA, xBなどの添え字付きの物だと書く時間が長いし見にくいので、α, βなどにしておこう。

式をα, βで表現したまま計算を進めていくのが王道だ。グラフを見ても分かるように左右対称性を持つ問題だから、 α, β のいずれかをもう片方で表して計算していくというのは筋が悪いのだ。

面積を定積分して求める際、積分範囲もα, βで表す事で、積分結果がα, βで表された簡潔な式になる。

最小値に関しても微分せずに相加相乗平均などで素早く求められる。

〔3〕

東進の解説

二次方程式について、与えられた条件を満たす解を持つような係数(m, n)の組み合わせの個数を数える。

問題の意味を捉えにくいが、まずは

  • 放物線の軸はn /2
  • 2N以下の正の整数(1 ≦ m ≦ 2N, 1 ≦ n ≦ 2N)
  • 解がN以上(N2 -Nn +m ≦ 0)
  • 実数解を持つ(n2 -4m ≧ 0)

といった条件を確認していき、立式・グラフ化する。ちなみに、「係数が未知数である二次方程式の実数解」と来れば「解と係数の関係」を使いたくなるが、この問題は特に使わない。

(m, n)の個数は、上記の4つの不等式を満たす組み合わせだ。不等式によって範囲が定まると言えば格子点なので、視点を変えて(m, n)を平面座標に置き換えて格子点として数え上げる。(m, n)という二つの未知数の組み合わせになっているのも、格子点として解くという事に気づくヒントだ。

一見すると実数解条件 “n2 -4m ≧ 0″という曲線で囲まれた領域の格子点を数えなければならない様だが、実際には「解がN以上」という条件により直線で囲まれた領域を扱うことになる。

複数の条件と照らし合わせて領域を確認して格子点を数え上げるのは骨が折れる作業で、馴れが必要だ。しかもこの問題ではN = 1 を例外として場合分けする必要がある…領域が狭いので” N2 -Nn +m ≦ 0 “という斜線部分に掛かってしまうからだ。

東進の解説では細かく場合分けしているが、却って分かり難くなっている。

〔4〕

東進の解説

(1)

直線l と垂直な平面πは内積で表せる。そしてxy平面と交わるという条件は”z = 0″を代入するだけで求まる。”x +y = t”だけでは平面を表す事になるので、”z = 0″も併記する。

(2)

今年度最大の難問。「斜軸回転体の体積」というだけでも発展的な内容だが、更に空間的に捉える必要がある。

(1)が誘導になっており、平面と領域Dが交わる線分をlを軸として円の面積を求め、tで積分することになる。放物線は平面π がt = 1 の時に丁度接するようになっているので0~1 の範囲で積分する。

tはx, y, z軸により定められておりl とはスケールが異なるので、tとsの関係式を作り置換積分する。

軸が空間的に傾いているので、RP, RQを算出してドーナツ状の面積を求める。

被積分関数の項の一つ”-2√(1 -t)・(t -2)”の積分方法については、東進は部分積分を使っているが、Math Stationのように”2√(1 -t) +2(1 -t)√(1 -t) “と分けた方が部分積分を使う必要が無いので速い。

高校数学 筑波大学2015 (平成27)年度一般入試問題の解説

〔2〕

(1)AQ = 1/tan (α /2), QC = 1/tan (β /2) という風に、半角を三角関数で表しても正解になる。

〔3〕

(1)

an+2, an+1 を数列を使ってα, βの式に置き換えて「解と係数の関係」を使う方法があるが、因数化や展開に手間がかかる。

二次方程式とそれが元となっている隣接三項間漸化式は親和性が高い。これを利用して、実数解を二次方程式に代入して漸化式を組み立てる方法が速い。

(2)

(1)の示された漸化式は係数が整数なので、an+2 も整数になるのは自明だ。

(3)

pとqの関係式は何の意味があるのか一見して分からないし、題意を掴みにくい。こういう時は取り敢えず示すべきものを現時点で分かっている材料を用いて作ってみる事だ。そうすると次のようになる。

bn = an +⌈-{p -√(p2 +q)}n -1 /2⌉

“⌈”, “⌉”は天井関数の記号。ここで、 pとqの関係式の不等号を等号に置き換えて代入してみると意味が漸く見えてくる。

βは負数なので、指数の偶奇に依って天井関数の符号が変わる。慣れてないと中々答えに辿り着けないだろう。

〔4〕

(3)

(2)と同じように両辺を微分すると大変な手間が掛かるし、微分しても大小比較は出来ない。

そこで両辺の項がよく似た形である事、両辺の2項目が(2)で証明した式と同じ形式である事に注目する。

(4)

問題の流れからして、素直に積分を試みるのではないのは分かる。

(3)の式は、lim (t → ∞)とすると両辺が0になる不等式なので、挟み撃ちの原理に用いると勘付くだろう。

b'(t)を導くという事には気づくが、計算方法を工夫しないと時間が掛かる。東進の模範解答の様に、b(t) = -t・f'(t) +f(t) からb'(t) = -t・f”(t)と具体的な計算を後回しにする方法に分がある。分母の形は最終形を維持し、分子は項数を減らそう。誘導の中で出ている式をそのまま使わない方が良いパターンだった。

極限の発散速度は「多項式 ≪ 指数関数」である事を知っていれば挟み撃ちの原理を使うくだりは不要だが、東進やパスナビの模範解答には書かれているので、挟み撃ちの原理を使って記述する必要があるのだろう。

〔6〕

(1)

zが描く図形を考える問題なので、zの項を一つに纏めていく。問題文中で円であると教えてくれているので、平方完成すればよい。

(2)

純虚数となるという条件を式に組み込む。

与式をωとおいて、ω +ω = 0, ω ≠ 0 と共役複素数を利用する方法がある。一つの項に含まれる記号すべてに「バーがある」または「バーが無い」状態に持ち込めば、項全体を「バーがある」または「バーが無い」状態として扱える。ここで注意すべきなのはβは正数なのでバーが有っても無くても同じという事。

若しくは与式をkiとおくという方法もある。式全体からバーを消すためにβ –αβ -α とした後に絶対値で処理する。

いずれにしても、β –α というバー無し、バー有りが混在する項は望ましくないのでβをβ に置き換えるのが肝。 バー無しと有りの混在が価値を持つのは、主に同記号同士の和(0になる)もしくは積(絶対値になる)の場合である。

長さは絶対値記号ではなく共役複素数を用いた形を使う。

(3)

正三角形といえば、各頂点が中心との距離が等しく偏角が等しいという性質があるが、そう考えると式が複雑になる。|β -α| = √3・|α| に着目すると、他の記号なしで立式出来る。βが実数なので2乗しても共役複素数が出てこないので代数的に処理できる。

高校理科(化学) 筑波大学2016 (平成28)年度一般入試問題の解説

余りにも問題量が多く、制限時間内に全てを解答するのはセンター試験よりも遥かに困難だ。解答に時間が掛かる問題を見極めて捨てる技術が合否を分ける。

問3

問題の意味をよく理解しようとすると時間が掛かるが、与えられた式と数値で計算していくと簡単に正答を得られる。問2も同じようなものだ。

熱化学方程式の問題は一般に、単純に数値を代入して計算するだけだ。

問4

アンモニアソーダ法。生成したNH4Clは消石灰Ca(OH)2と反応してNH3とCaCl2になり、前者は再利用される。

問2

平均分子量 = (混合気体の質量) /(混合気体を構成する各分子の物質量の総和)

ここでは平均分子量は次の様に分圧を使うと速く計算できる。

(酸素の分子量) *(酸素の物質量比) +(水素の分子量) *(水素の物質量比) = (酸素の分子量) *(酸素の分圧) +(水素の分子量) *(水素の分圧)

問3

電池では、還元剤が電子を失うのが負極。酸化剤が電子を得るのが正極。

問4

(i)

H2O2 が酸化剤または還元剤のどちらとして働くかの見極めが重要。KIが明らかに還元剤なので酸化剤と判断できる。もしくは酸性水用液という条件から、水素イオンが多いので酸化剤として働くとも判断できる。

(ii)

H2O2 の物質量はx /10 molだ。H2O2 とKIのイオン反応式では、 H2O2 と生成物 I2 の物質量比は1:1 なので I2はx /10 molだ。

S2O32- の物質量は0.02molだ。

I2 と S2O32- のイオン反応式より、1 : 2 = x /10 : 0.02 となる。物質量で比を取ると分かりやすい。

問1

(a)

エステルを強塩基の水溶液で加水分解するとカルボン酸塩とアルコールになる。これを「けん化」という。

実験2では、二つのエステル結合がけん化されてONa基になった後、中和してヒドロキシ基になった。これらが不飽和脂肪酸Bとカルボン酸Cだ。

(b)

グリコシド結合と言えば糖類同士の結合を言うが、厳密には「糖類と有機化合物が脱水縮合して形成する結合」である。

ちなみにエーテル結合は結合力が強いため加水分解はされないので、(b)の結合には該当しない。

結構マニアックな問題だった。

問2

Bは脂肪酸なのでカルボキシ基を持つ。

問3

光学活性とは、光学異性体を持つという事。

問4

マルトースは最も簡単な二糖類の一つで、二つのαグルコースの1, 4結合から成る。1, 1結合した物はトレハロース。ちなみに、 αグルコースのみから成る多糖類はデンプンだ。

セルロースはβグルコースから成る多糖類。ちなみに、二つのβグルコースから成るのがセロビオース。

化合物Gは βグルコースと比べると、炭素4位が上下回転しているが、これをβガラクトースという。 βグルコースとの1, 4結合でラクトースになる単糖だ。

問7

環式構造同士が水素結合を作るという点が重要なので、「水素結合」という語を盛り込もう。

高校数学 筑波大学2014 (平成26)年度一般入試問題の解説

難しくはないが、手間のかかる問題ばかりだ。

〔1〕

(1)

(2)で点Gの座標を表す必要があるが、三次方程式の解を求めるのは難しいので「解と係数の関係」を用いてエレガントに導き出す。

α+β+γ, αβ+βγ+γα, αβγ が出てきたら三次関数の「解と係数の関係」を使うのは確実。α, β, γ はP(a, b)からf(x)に引いた接線のx座標であり、f(x)と直線との交点ではないので気づきにくい。しかし接線の座標を(p, q)として方程式を立てて(a,b)を通る情報を与えると…

2t3 -3at2 +a +b = 0 ※g(p)とおく

となり、pの解が α, β, γ となる。

ここで「解は3つある」という条件を確認しよう。まずグラフの形からa ≠ 0であると分かる。加えてg(p) の極値はg(0) = a +b, g(a) = -a3 +a +b であるから、(a +b>0 ∧ -a3 +a +b < 0)∨ (a +b < 0 ∧ -a3 +a +b>0) となるが、よりシンプルに(a +b)(-a3 +a +b) < 0 とも表せる( a ≠ 0 も含まれている)。

三次関数の解と係数の関係は次の通り。

  • α+β+γ = −b/a
  • αβ+βγ+γα = c/a
  • αβγ = −d/a

解と係数の関係には、方程式の次数に依らず次の法則が成り立つ。これを知っていれば関係式を憶える必要はない。

  • 左辺の次数が偶数の場合は右辺は正数、奇数の場合は負数となる。
  • 「左辺の次数」と「右辺の分子が対応するxの次数」の和は、その関数の最大次数に等しい。(二次関数では2、三次関数では3)

(2)

α333 = (α+β+γ){(α+β+γ)2 -3(αβ+βγ+γα)}を憶えている必要がある。

重心の問題は2016年度〔1〕でも出題されている。

(3)

(1)で説明した「解は3つある」という条件がここで必要となってくる。問題(1)を解く上では必要のない条件なのでスルーしてしまいがちなので厄介。大問を解く前に各小問に目を通しておくと良いかも。

y = 9x3 /4 -2x, y = -x, f(x) = x3 -x の三つのグラフを交点に気を付けながら描く必要があるので大変だ。 y = 9x3 /4 -2xとf(x)の大小を比較する際は次のやり方が速い。

  • 両関数を辺々引いて交点のx座標を導く。
  • (1, 0) がf(x) とx軸との交点なのでx = 1を代入して比較。

「境界は除く」という事も書こう。

〔3〕

(3)

Z(a)の極限は、Y(a)とY(b)で分けると速い。Y(a)の極限は(1)で求めた通り1。 Y(b) はbをaに置き換えるのではなく、b = 1/a を利用して”a → +0″を “b → ∞” とすることで(1)の結果を再利用できる。

Z'(a) /a の極限について。Y'(b) = {Y(1 /a)}’は合成関数の微分で(-1 /a2)・Y'(1 /a) とできる。この後、東進やパスナビの模範解答ではaを再びbに置き換えて”b → ∞”とする事で証明なしで使える極限の形に持って行っているが、極限の速度は多項式より指数関数が大きい事を知っていればすぐに答えを出せる。

〔4〕

(4)

隣接三項間漸化式の一般項を求める。特性方程式または数学的帰納法を使う。

〔6〕

(1)

楕円の方程式は x2 /a2 +y2 /(a2 -c2) = 1 、双曲線の方程式は x2 /a2 -y2 /(c2 -a2) = 1 で表される。式変形すれば両者は同じものである事が分かる。違いは前者がc < a, 後者がa < c であるという事。要は焦点が曲線の内側か外側にあるかの違いだ。

「点Pの座標をaを用いて表せ」とは、tも消去する必要がある。

(2)

C1, C2 の接線公式から傾きを求め、それらの積が-1になる事を利用する。このほか、方程式の偏微分で法線ベクトルを導き、内積が0になる事を利用する方法もある。

(3)

aが媒介変数となっているのでaを消したx, yの方程式を作る。

計算過程で、点Pは第一象限にある事や正負の条件により範囲が絞られることに注意。

高校理科(物理) 筑波大学2016 (平成28)年度一般入試問題の解説

2016年度の物理は直近10年間で最も難しく、最難関大学レベルだった。

単振動を含む二体問題が題材。受験物理のサイトに類題が詳しく解説されている。

問2

問7で台の重心位置を求める為の前準備。

物体は外力を受けなければ重心の速度は一定である(重心運動方程式)。そして面白いことに、これは単振動を含む系の場合も成立するのだ。

運動量保存則を考えると容易に分かる。この法則が二物体間の衝突や分裂以外に利用できる例だ。

初めに小球に速さv0 (運動量: mv0) が与えられているので、全体の速さは (mv0) /(M +m) となる。

問3

問4で、バネが最も縮んだ時の「2体系の速さに基づく運動エネルギー」 を求めるが、この時に小球の速度が台に対して0である事に着目する。

問4

d1 を含む式といえば弾性エネルギーだ。2体系の力学的エネルギーは保存されるので、これを立式する。

t = 0 の時、台の速さは0でなので、速さv0 が与えられた小球の運動エネルギーが2体系の力学的エネルギーだ。そしてバネが最も縮んだ時、「バネのポテンシャルエネルギー」と「2体系の速さに基づく運動エネルギー」の総和が力学的エネルギーだ。

問5

問6(a)で立てた式には台の加速度Aが含まれているので、これを消すために台とバネの間に成り立つ運動方程式を立てる。

運動方程式とは「力の釣り合いの式」である。この問題で力を生み出しているのは弾性力であり、バネの右端が台を押し、作用反作用により釣り合っている。

問6

問7で台の重心位置を求めるが、2体系の重心位置は容易に分かるのに対して小球の重心位置は常に動いているので、これを分析していく。

(a)

(b)では「台に対する単振動のバネ定数」が未知なので、「台を基準とする小球の運動方程式」を立てる。

台とともに動く観測者の立場から考えるので、「台が固定されている」として考えたいところだが、問5のように台には力が掛かっているので慣性力を考慮する必要がある。

(b)

問7で台に対する単振動の変位を表すには角速度を知る必要がある。

単振動をしている事を示すわけだからF = -kx の形で示す。台に対する単振動なので左辺は小球の質量mと台に対する加速度aを用いてmaとする。

角振動数ωを求めるには、 F = -kx = -mω2x と弾性力を角振動数を含む式に変形して解く。

問7

2体系の重心位置の式に小球の重心位置を当てはめる事で台の重心位置が分かる。

小球の重心位置は台の重心位置と単振動の変位に依存しているので、相対位置の式”x -X = d1 sin(ωt) -X0“を立てる。

問1

問2でローレンツ力を求める上で、F = IBl は使えないのでF = qvB を使う。vが未知なので運動エネルギーを利用して求める。(よく似た式にV = vBlがあるが、これは誘導起電力の式だ。)

問2

選別装置内の電場によって生じるクーロン力(F = qE)と釣り合う逆向きのローレンツ力(F = qvB)が必要。

ちなみにローレンツ力と電磁力は実質的に同じもの。

問4

問5で描くグラフに磁束密度の値を書き込む為には、電極a, bで電流を検出できる磁束密度の範囲を調べる必要がある。

荷電粒子は検出器内の磁場によってローレンツ力が働き、時計回りに曲がる事で電極で検出される。したがって磁束密度の範囲は、「円運動する荷電粒子の半径」と「検出器入口と電極の距離」の関係から導ける。

問5

磁束密度の値の算出に恐ろしく時間が掛かる。本番では誰も完答できなかったと思われる。 磁束密度を記入しないでグラフを書けば部分点を効率的に稼げる。

Z = 1 よりZ = 2の粒子の方がローレンツ力を受けやすく、電極で流れる電流も大きい。煩雑な計算を楽にするため、B = √(2mEad /e) /l とおくと良い。

問6

難問の問5が分からなくても解ける簡単な問題なので飛ばさない様にしよう。

解答の表現方法は複数あるが、できる限りシンプルな式になるのが良いだろう。

問題の流れがややこしいので、過程毎に圧力、温度、体積の値を整理しておくと非常に便利だ。

問1

(a)ピストンは自由に動くので圧力は一定。温度が2倍なので体積も2倍だ。

(b)この仕事は、ピストンが外部にした仕事も含まれる。定圧変化なのでnCpΔT = nCpT0 、またはΔU +ΔpV = 5/2・nRT と表せる。

問2

(d)密度は「質量 /体積」なので体積に反比例する。この事と状態方程式から、密度は「圧力 /温度」に比例すると分かる。

問3

(f)等積変化なので圧力は温度に比例する。地表面の気温はT0 、シリンダー内の温度は2T0 だ。過程2の温度は、温度の方程式に(d)の式を代入して4T0 /5 である。